こんにちは!繊細子です。
いつもお読みいただいている読者の方、本当にありがとうございます。
昨今ではSNSの影響で、保護犬について興味をもつ方が増えています。
ペットを迎え入れるならショップ購入よりも保護犬を一匹でも救いたいとお考えの方。
この記事では実際に繁殖引退犬と暮らし、2年以上が経過した里親家族の実体験を踏まえた情報をお伝えしたいと思います。
ぜひ最後までお読みいただき、保護犬の魅力がお分かりいただけると幸いです。
※こちらの記事は、私の著書『繁殖犬を知っていますか?』より引用しています。
少しでも多くの方に現状を知っていただきたくてblogに投稿することにしました。
もっと詳細が知りたい方は、ぜひ著書をお読みいただきますと、ストーリー形式でお読みいただくことができます。
繁殖引退犬とは?
ブリーダーのもとで子犬を出産してきた犬のこと。
2〜5才で主に繁殖犬として活躍し、6才以降は引退することが多いです。
ブリーダー次第では、この限りではないのが過酷な現状です。
不妊、病気などにより繁殖できなくなり、出産することから引退した犬たちを「繁殖引退犬」と呼びます。ほとんどが純血種のメスです。
繁殖引退犬の3つの特徴
繁殖引退犬は、長年の繁殖生活で、心身ともにどんな状態にあるのかをご説明したいと思います。
愛情あふれるブリーダーのもとで生まれ育ち、最後までお世話するのが当然のことながら、現実はとても残酷なものばかりです。
ネットで検索をすると、思わず目を覆いたくなる過酷な環境下で耐えている繁殖犬が溢れています。
それでは繁殖犬の状態について、以下をご覧ください。
- 体の老化が激しい
・口腔内の状態が悪い
口腔内のケアなども放置されている子がほとんどなので、歯石が溜まり細菌は繁殖し、歯周病が進行しています。
指で簡単に抜けてしまうほどグラグラな状態なことも多いです。基本的に犬は歯が抜けても食事はとれますので、心配しなくても大丈夫なケースがほとんどです。
・子宮が変形している
過酷な繁殖生活を物語っているもの、それは子宮です。
雌犬のかかりやすい病気のひとつに子宮蓄膿症というものがあり、これを予防するために、我が家も避妊手術を受けさせました。
その際に取り出した子宮は、度重なる出産によりいびつな形になっておりました。なかには素人が無麻酔でオペを行うといった、卑劣なブリーダーもいるのです。
この子宮の変形を知ったとき、人間のやってきたことのおぞましさを感じました。
・声帯が除去されていることもある
犬は一匹が吠えると連鎖で吠え始めるため、静かにさせることを目的として声帯除去するブリーダーがいます。
かすれた感じで少し聞こえるかな?位の鳴き声です。
犬らしい生き方を奪われて生活していかなければならないのです。
想像してみて下さい…犬たちはどれほどの苦しみでしょうか。
- おとなしい性格にみえる
繁殖引退犬は、抱っこや撫でる時も逆らうことなく、おとなしく静かにしています。
抵抗してもどうにもならないということを悟っているからです。
自分の意思や表現をすべて抑えて過ごすしかなかった毎日を思うと、胸が痛みます。
- 散歩に行ったことがない子がほとんど
多くの繁殖犬がいる繁殖場では、散歩につれていくどころか、陽の光さえ知らない子もたくさんいます。
初めて外に連れ出したときは、動くもの、音、人、すべてに恐怖で震えてかたまることしか出来ないのが当然の様子でしょう。
幼犬の時期に経験できなかったこと、何一つ興味をもつことも許されなかったからです。
繫殖引退犬を保護した人が知る悲しい共通点
過酷で悲しい過去をもつからこそ、共通する習性があります。
なぜなら先にも述べた通り、他の犬のように、いろんなことに対応できる経験を持ち合わせていないからです。
SNSで知り合ったフォロワーさんで、同じく保護犬を飼っている方の感想を交えてお伝えいたします。
- 大きな音を怖がる
散歩中や家にいる時など、大きな音がすると、震えたり怯えることが多いです。
どんなトラウマがあるのか、その犬にしかわからないと思いますが、幼犬の時期に経験したことのない初めての音や状況に驚いているのだと思います。
- 柔らかいベッドなどに慣れてない
暖かい寝床で眠ってほしいと思っても、なかなか眠ってくれません。
ペットシーツの上などの方が落ち着くようなのです。
理由は、かたい床やケージ内でしか眠ったことがなかったからです。
ケージ内の底部分が足に食い込み、足裏が変形している場合もあります。
はじめてフカフカのベッドに乗ってくれた時の感動は…今も忘れません。
- 誰かがいると警戒して食べない
朝も夜も決まった時間にご飯を与えるのですが、警戒してなかなか食べてくれません。
夜中に人が寝静まったころなど、安全なところまで運び、一気に食べ始めます。
この行動は、集団の犬の中で生活していく生きる術の一つのように感じます。
繁殖引退犬の保護後の様子と体験談
保護後にどういった変化があったのかを、ざっくりとまとめてみました.
毎日が初めてのことの連続で、里親家族の私たちも戸惑うことばかりでした。
それぞれの犬の差はあると思うのですが、保護後の流れを頭に入れておくことで受け止め方も違ってくると思うので、参考までにご覧ください。
当日 | ・緊張して終始震え怯えていた。 ・夜中に何度も遠吠えをする。 ・家の家電の音にも落ち着かない。 ・排泄はあちらこちらで定まらない。 ・叱らずにシート上で出来たら褒めるようにしてみる。 |
1週間 | ・初めてみる人形に吠えたり、ボールに興味をもつ。 ・引き離された子犬を思い出し人形などを温めたりする。 |
1ヵ月 | ・排泄も決まった場所に定着してきた。 ・扉を開けておくと、ケージから時々出てくる。 ・苦手な散歩で急に歩けるようになる。 |
半年 | ・部屋中を移動できるようになる。 ・家族の生活リズムに慣れ、合わせて行動する。 ・家族を信頼する動きを見せる。 |
1年 | ・基本的に散歩は苦手なので無理強いはしない。 ・散歩中も行きたくない方向など意思表示する。 ・信頼関係がしっかり築けてくる。 ・すごく甘えるようになった。 |
繁殖引退犬を迎えて良かったこと3点
成犬は子犬と異なり、落ち着いているため、飼いやすいと思います。
そのなかでも繫殖引退犬は、人に従順にする術をすでに知っているので、きちんとこちらの意思を汲み取ってくれます。
飼いやすいポイントを知ると迎え入れる不安も減ってきますよね。
- 成犬の場合は大きさが分かっているので飼育しやすい
成犬時のサイズがおおよそ決まってくるのは生後8か月頃だといわれています。
大きさや体重が予想できないと、「こんなはずじゃなかった」ということにもなり兼ねません。
命に責任を持つためにも、体の大きさを把握できるのに越したことはありませんよね。
- 家族のライフスタイルに合うかイメージしやすい
ある程度成長してくると気質や性格がわかってから迎えられるので、先住犬との相性や、日常生活をイメージしやすい。判断材料の一つにできます。
- 迎え入れる際の費用がペットショップよりもかからない
これは飼い始めるハードルが低くなることにも繋がります。
ペットショップやブリーダーであれば購入費が平均で30万円以上かかります。
保護犬であれば購入費ではなく、避妊去勢手術やマイクロチップの装着、飼育道具をそろえたり、ワクチン費用が必要となり、地域差はありますが、平均10万円くらいが目安です。
思いもよらずかかる費用を先に考慮しておくことも、大事です。
詳しくは、下記で説明しています。
繁殖引退犬を迎える際の注意点
最後まで責任をもって命を預かるために、気を付ける点を把握しておくことも、とても重要です。
知っておかねばならない情報をお伝えします!
- 繁殖引退犬は医療費がかかる?
劣悪な環境で暮らしていた為、また、度重なる繁殖行為を強いられていたため、健康状態が損なわれている子が多いです。
我が家の一例としましては、迎え入れて1年が経った頃、心臓の雑音を指摘されるようになりました。
精密な健康診断を勧められた為、混合ワクチンやお薬と合わせて4万円ほどお支払いしました。
最初はその金額に驚きましたが、他動物病院勤務の方などにも相談してみて相場の金額とのことでした。
以降も、朝晩2回の心臓のお薬と、フィラリア予防薬をつづけているので毎月1万円ほどかかります。
ペット保険に加入すると負担額は減りますが、保険加入費として年間6~7万円ほどはかかります。
(※地域差や、保険プランなどにより差はあることをご了承ください。)
こういった出費を踏まえたうえで、長期間の通院ができるか等も考慮の上、検討いただければと思います。
- 繁殖引退犬とは信頼関係が結べない?
普通の犬と違い、人間不信であってもおかしくありません。
成犬になって急に性格が変わることも考えづらいですよね。
しかし愛情をしっかり注いで、強固な絆ができてくることもあり得ます。
そんな日を信じて歩んでいくのは、犬にとっても飼い主にとっても幸せな事だと思います。
まとめ
ここまで、里親家族になるためのポイントをお伝えしました。
里親を考えている方の、少しはご参考になりましたでしょうか?
繫殖引退犬を家族に迎えた毎日は、感動と癒しに満ち溢れています。
信頼関係を築くことができれば、決して飼いにくいことはないです。
むしろ、心を開いてくれた時の感動や、成犬ならではの魅力がたまらなく愛らしいのです。
時間をかけてでも、必ず心優しいアナタに心を開いてくれる日が必ず来るのです。
人間の身勝手な都合で生み出される繁殖引退犬が、新しい家族のもとで最期の時を迎えるまで幸せに暮らせる日々を切に願って…。筆をおくことにしましょう。
最後までお読みいただきまして、心より感謝を申し上げます。
今後も、動物愛護活動にご理解とご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
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